大阪桐蔭―秀岳館 秀岳館の遊撃手半情=30日、阪神甲子園球場、加藤諒撮影
(30日、選抜高校野球 大阪桐蔭2―1秀岳館)
試合詳細はこちら
動画もニュースも「バーチャル高校野球」
30日の選抜高校野球。3季連続となる準決勝の舞台に上がった秀岳館(熊本)は初の決勝進出をめざしたが、大阪桐蔭に1―2で敗れた。昨夏は最後の打者になった半情冬馬(はんじょうとうま)君(3年)は3安打と気を吐いたが、先輩を超えられず、「まだまだ足りない」。夏での雪辱を誓った。
八回1死、半情君は三遊間を抜ける安打を放って出塁すると、すかさず盗塁を決めて二塁へ。3番木本凌雅君(3年)の適時打で生還した。今大会は18打数8安打。1番打者として打線を引っ張ったが、「自分の結果が良くても、チームが一番」と悔しがった。
昨夏の甲子園でも活躍した。レギュラーではなかったが、50メートル5秒台の俊足を買われて代走や代打で起用された。内外野すべてこなせる「スーパーサブ」としても重宝され、全試合に出場した。
南北海道代表の北海との準決勝でも途中出場し、九回2死一塁で打席が回ってきた。次打者は尊敬する先輩の松尾大河君(現DeNA)。「何とかつなげたい」。ゴロを転がし、一塁へ懸命に走ったがアウトになり、最後の打者になった。
試合後、「3年生の夏を自分が終わらせた」と泣く半情君に声をかけたのは松尾君だった。「来年は絶対、お前がリーダーとして引っ張っていけよ」
先輩の思いを受け継ぎたいと、熊本に戻ってから松尾君に「グラブをください」と頼むと、快く譲ってくれた。今も大切にしており、試合でも時々使う。「これをつけるとうまくなった気がするんです」
春の甲子園出場を半情君は松尾君にLINEで報告した。松尾君からは「俺もプロで頑張っている。お前らも日本一目指して頑張れ」と返事がきた。「一番尊敬している先輩に言ってもらえてうれしかった」
先輩と同じ準決勝にはたどり着いたが、半情君は「(先輩たちを)追い越すつもりでやってきたので、近づけたのは当たり前」。「4強の壁」について尋ねられると、「甲子園は簡単な所ではない。まだまだ足りない。夏に向けてまた練習です」と話した。(沢田紫門、大森浩志郎)