安倍晋三首相の妻昭恵氏が昨夏の参院選で自民党候補の応援に行った際、昭恵氏付の政府職員が少なくとも2回同行していたことが5日、分かった。「森友学園」への国有地売却問題をめぐって昭恵氏の証人喚問を求めている野党は、公務員の政治的行為を禁じる国家公務員法に抵触する可能性を指摘している。
5日の衆院文部科学委員会で民進党の宮崎岳志氏が質問。土生(はぶ)栄二内閣審議官が昨年6月28日に岡山県、7月9日に沖縄県で昭恵氏が選挙応援した際、職員が同行していたことを明らかにした。そのうえで「連絡調整の必要性から同行している。政治的行為の制限等には十分に留意して対応した」と説明した。
さらに土生氏は、今年2月27日から3月29日までの31日間に昭恵氏の事実上の「公務」は6日間だったとした。内訳は、外務省出身の職員が補佐する外交案件2件、首相に付き添った天皇陛下の見送りと出迎えのほかは、農業関連行事の出席と東日本大震災の被災地訪問だった。
宮崎氏は「(外交案件と首相の付き添い以外の)2日間のために経済産業省(出身)の2人の職員が常勤で張り付き、やっていることはほとんど私的活動の随行だ。いびつな形だ」と指摘した。(南彰)