サッカーの日本女子代表（世界ランク６位）は９日、熊本市でコスタリカ女子代表（同３０位）との国際親善試合に臨む。世代交代を図る中、苦戦が続く日本。昨年４月に高倉監督が就任してから、国内初戦となるこの一戦を足がかりに、かつての澤穂希や宮間あやのような頼れるエースは台頭するか。

昨夏のリオデジャネイロ五輪の出場を逃した日本は、２０１９年ワールドカップ（Ｗ杯）フランス大会や２０年東京五輪に向けて再建中だ。だが、次代のエースは現れず、戦術も熟成されていない。世界ランクが低い相手に、持ち味である組織力で劣る試合も目立ち、３月のアルガルベ杯は６位に終わった。

１１年Ｗ杯ドイツ大会、１２年ロンドン五輪、１５年Ｗ杯カナダ大会。いずれも決勝に進出したときの日本には、プレー面、精神面でチームを支える主将がいた。「苦しい時は私の背中を見て」と語り、Ｗ杯ドイツ大会決勝で同点ゴールを決めた澤。アジア・サッカー連盟の女子最優秀選手に３度輝いた宮間。ともに１５０試合以上の出場を誇り、世界から認められた２人は今の代表にはいない。

点取り屋のＦＷ岩渕や新主将のＤＦ熊谷、中盤で攻守のかじを取るＭＦ宇津木。現在の主力にも才能ある選手はいるが、かつての澤や宮間に代わる絶対的な存在とまでは言い難い。

高倉監督が個の強さも打ち出したいという新チームでは、期待の若手が試されている。２３歳のＭＦ猶本（浦和）は、身長１５８センチ、体重５５キロながら、屈強な海外勢とスピードやパワーで渡り合える。２０歳のＭＦ長谷川（日テレ）はアルガルベ杯で２得点と活躍。１５６センチ、４６キロと線は細いが、豊富な運動量でゲームメイクをこなし、得点感覚も兼ね備える。

Ｗ杯フランス大会の出場権がかかるアジアカップまであと１年。「なでしこの魂を引き継いで戦って欲しい」と言う指揮官の期待に応える新星は現れるか。（富山正浩）