岸田文雄外相は25日の閣議で、2017年版の外交青書を報告した。核実験やミサイル発射を繰り返す北朝鮮について「新たな段階の脅威」という表現を初めて記載。米国、韓国、中国、ロシアなど関係国と連携して自制を求め、国連安全保障理事会決議の順守を強く求めていくとした。
日韓関係では、釜山・日本総領事館前の慰安婦を象徴する「少女像」の設置について、日韓合意の趣旨に反するとして「極めて遺憾」と批判。韓国側に「合意の着実な実施を求めていく」と強調した。さらに像設置の動きが米国など第三国でもあると指摘したうえで「『軍や官憲による強制連行』、『数十万人の慰安婦』、『性奴隷』といった主張については、史実とは認識していない」と記した。外交青書をめぐっては、自民党外交部会で原案が大筋了承された際、慰安婦問題をめぐる誤解が世界に広がらないよう記述に注意すべきだとの注文がついた経緯がある。
日韓両国が領有権を主張する島根県の竹島については「歴史的事実に照らしても国際法上も明らかに日本固有の領土」との16年版と同様の表現で記載。外交青書は総論部分が近日中に外務省のホームページ(HP)で公開され、全体版は製本された状態で6月末に市販される。8月ごろまでには全体が英訳されHPに掲載される見通し。(松井望美)