薬師寺の食堂に完成した「阿弥陀三尊浄土図」(中央)と「仏教伝来の道と薬師寺」=9日午後、奈良市、井手さゆり撮影
奈良市西ノ京町の薬師寺で「食堂(じきどう)」の再建工事が終わり、9日、報道陣に公開された。6メートル四方の本尊「阿弥陀三尊浄土図」を中心に、全長約50メートルの大壁画「仏教伝来の道と薬師寺」が堂内をぐるりと飾る。東京芸術大名誉教授で日本画家の田渕俊夫さん(75)が描いた。
食堂は僧侶の食事や儀礼の場で、古代寺院の主な建物の一つ。薬師寺によると、創建当初の食堂は973年に焼失。1005年に再建されたが、その後、再び失われていた。今回の食堂は南北約16メートル、東西約41メートル、高さ約14メートル。建築家の伊東豊雄さんが内部をデザインした。落慶後は法話などの場になる。
大壁画は、故平山郁夫さんの弟子でもある田渕さんが4年がかりで仕上げた。「薬師寺には平山先生作の『大唐西域(だいとうさいいき)壁画』があるだけに、自分らしさを出そうと頑張らせていただいた」。村上太胤(たいいん)管主(かんす、70)は「仏教が中国から日本に伝わった様子をよく表現している。仏法を広める場にふさわしい」と話した。
26~28日に落慶法要がある。一般公開は7月1日~11月30日(特別拝観料500円、別に薬師寺の拝観料が必要)。問い合わせは薬師寺(0742・33・6001)。(佐藤圭司)