すみれの保護の経緯をまとめ、動物の命について考える本が昨年9月、「セブン&アイ出版」から出版された
前橋市で昨年4月、大けがをした犬が警察に保護された。一命は取り留めたが2本脚に――。この一件は、その後の動物保護をめぐる行政間の連携や制度、殺処分、飼い主の意識など、多くのことを考えるきっかけになった。あれから1年が経ち、行政の取り組みも少しずつ変わった。群馬県は今年度からふるさと納税の使い道に「動物愛護」を新たに加えた。動物愛護団体は「2本脚になったこの子(犬)から、改めて命の尊さを考えてほしい」と訴える。
保護された犬の名前は「すみれ」。推定8、9歳のメスの柴犬(しばいぬ)だ。現在、動物愛護のNPO法人「群馬わんにゃんネットワーク」(高崎市)の星野ちづるさんが預かっている。
すみれは2015年12月に高崎市内で「迷子」となっていたところを収容された。飼い主が見つからなかったため、ネットワークを通じて譲渡された。しかし、16年4月9日、上毛電鉄の線路脇(前橋市)でけがをしているすみれを見つけた人が110番通報し、前橋東署が保護した。
署は保健所に対応を頼もうと市に電話したが、土曜日のため「週明けの対応になる」との答えだった。結局、土、日曜は署員が水を与えるなどして様子を見た。鑑札から飼い主がわかったのは月曜だった。
様々な事情から同ネットワークが飼い主から所有権を譲り受けて手術をした。傷口の状態が悪く、左の前後の脚と尻尾を切断した。
すみれをめぐる警察署や市など…