大坂正明容疑者=警視庁ホームページから
大阪府警は今月、広島県内で中核派の関係先を捜索し、非公然活動家の男を有印私文書偽造・同行使などの容疑で逮捕した。この際に公務執行妨害容疑で逮捕した男が、1971年に東京・渋谷で沖縄返還協定の批准に反対する過激派のデモにより警察官1人が死亡した「渋谷暴動事件」で、警視庁が殺人容疑で指名手配している中核派の活動家と顔や体の特徴が似ていたという。捜査関係者への取材でわかった。
渋谷暴動45年、大坂容疑者は 暴露本や情報提供相次ぐ
捜査関係者によると、指名手配されていたのは大坂正明容疑者(67)。警視庁は殺人や傷害など五つの容疑で指名手配していたが、殺人以外は時効が成立。共犯者として起訴された男の公判が病気を理由に81年に停止し、その後、刑事訴訟法が改正されて殺人罪の時効が撤廃された。大坂容疑者は約45年間、逃亡中で、府警は今後、DNA型鑑定をするなどして、身元の確認を慎重に進める。
府警が今月、広島県内にいた中核派の非公然活動家の男を有印私文書偽造・同行使などの容疑で逮捕した際、同じ場所に大坂容疑者とみられる男がいたという。府警の調べに対し、黙秘しているという。
警察庁は昨年11月、渋谷暴動を捜査特別報奨金を支払う対象事件に指定。大坂容疑者の逮捕につながる有力な情報提供があれば、上限300万円を支払うとしていた。
渋谷暴動は、71年11月14日、国鉄(当時)渋谷駅周辺で、沖縄返還協定の批准に反対する過激派の学生ら約400人が機動隊と衝突。派出所や警備中の警察官を火炎瓶や鉄パイプで襲撃し、新潟県警から派遣されていた中村恒雄巡査(当時21、殉職後に警部補に昇任)が死亡し、警察官3人が負傷した。「共産主義国家を目指す革命を実現するには暴力も必要だ」と主張する中核派のメンバー6人が殺人容疑などで逮捕されて実刑判決を受け、大坂容疑者が指名手配されていた。