３万年以上前に人類が台湾から沖縄に渡った航海を再現する実験で、国立科学博物館と国立台湾史前文化博物館は２４日、６月に台湾沖で約３０キロをテスト航行すると発表した。

特集：３万年前の航海再現プロジェクト

再現実験は、２区間に分けて進められており、昨年７月には、沖縄県与那国島～西表島間（約７０キロ）を草舟で航行した。台湾～与那国島間（最短で約１１０キロ）は２０１９年を予定しているが、途中を流れている黒潮の影響などを調べるため、あらかじめ短距離を航行することにしたという。

台湾には、舟づくりに適した草が自生していないため、テスト航行には、竹を熱して緩いカーブをつけた小舟のような形のいかだを使う。長さ約１０メートル、幅１メートルほどの大きさで、５人が乗る。台湾南東部の沿岸から３０キロ離れた島まで、かいでこいで進み、黒潮の影響のほか、いかだの耐久性や安定性、人や食料をどのくらい乗せることができるかなども調べる。

この航行で得られたデータを元に、１９年の実験で出航する地点や、計画の詳細を決める参考にする。台湾沿岸の海からは与那国島は見えないため、進路を決める方法についても検討する。

沖縄で見つかっている旧石器時代の人骨には、いまの東南アジアに特徴的な遺伝型があり、南方からやってきたと考えられている。台湾や沖縄付近は当時も海でへだてられており、大陸と陸続きだった台湾から海を渡って沖縄へ渡ってきたとみられている。（神田明美）