ソフトバンクは29日、来年4月に入社する新卒の総合職採用者の選考に人工知能(AI)を使うと発表した。志望者がインターネットを通じて提出するエントリーシートにある二つの設問への回答のうち、一つを日本IBMのAI「ワトソン」が採点する。IBMによると、企業が採用活動にワトソンを使うと公表するのは初めてという。
AIが採点するのは、昨年12月から受け付けているエントリーシートのうち、5月中旬以降に提出されたもの。約400人が対象とみられる。設問は記述式で、昨年12月以降に人間がつけた高い評価や低い評価約1500人分を学習させ、AIが3段階で評価する。
AIが「低い」と評価した回答は、人間が改めて評価する。もう1問はAIを使わず担当者が評価する。エントリーシートによる選考の合否は2問の評価を合わせて決めるため、AIの評価だけで不合格になることはないという。合格者は一般教養などの適性検査に進む。書類選考の合格率は明らかにしていない。
質問は、ソフトバンクが重視する「ナンバーワン」「挑戦」など五つの理念を示した上で、「五つのうちあなたの強みに合致する項目と、強みを発揮したエピソード」を問う内容。AIは瞬時に文章を分析し、評価を出す。AIを使うことで、この質問の評価にかかる時間を4分の1に短縮できるという。
同社は「複数の人事担当者による評価のずれを防ぐ効果もある」として今後、2問ともAIに評価させることも検討する。(徳島慎也)