米国防総省は30日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を想定した初の迎撃実験に成功したと発表した。北朝鮮が開発を進める米本土を射程に収める核弾頭搭載のICBMに対し、弾道ミサイル防衛の能力を誇示する狙いがある。
同省ミサイル防衛局によると、西太平洋のマーシャル諸島・クエゼリン環礁にあるミサイル発射場から打ち上げた模擬のICBMを、弾道ミサイルを探知することができる洋上のXバンドレーダーで追尾。約8千キロ離れたカリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地に配備されたミサイル防衛システムで撃ち落とした。ミサイル防衛局のシリング局長は実験について「見事な成果であり、現実の脅威に対して抑止力の信頼性を証明することができた」と強調した。
米軍による地上配備型迎撃ミサイルによる実験は、より射程の短い中距離弾道ミサイルなどを対象に1999年から2014年まで計17回実施された。うち9回で成功している。
一方、米国防総省のデービス報道部長は30日の会見で、「2隻の空母が現在、西太平洋で定期の作戦行動を展開している」と語った。詳細は明らかにしなかったが、2隻は日本海周辺に派遣されている原子力空母カールビンソンとロナルド・レーガンとみられ、米CNNによると、31日にも、日本海で合同演習を始める予定だという。
日本海で米空母2隻が共同で訓練をするのは異例。北朝鮮によるミサイル発射を強く抑止する狙いがあるようだ。空母2隻には、数隻の水上艦と2隻の潜水艦が同行しているという。
6月1日には、新たに原子力空母ニミッツが母港のキトサップ海軍基地(ワシントン州)から西太平洋地域に向けて出港する予定。(ワシントン=峯村健司)