戦闘を逃れてジュバの国内避難民の保護区に身を寄せる人々。避難民の登録が終わっていないため、食料の配給を受けられず、保護区の外で採ったキャッサバの葉で飢えをしのいでいた=26日、杉本康弘撮影
日本の自衛隊が国連平和維持活動(PKO)から完全撤収した南スーダンで、深刻な食糧危機が起きている。民族紛争が全土に飛び火。治安の悪化で農業や畜産業ができなくなり、飢饉(ききん)が広がった。人口約1200万人のうち、約500万人弱の人々が深刻な食料不足に苦しんでいる。「世界有数の人道危機」(国連)に歯止めがかからない。
26日、首都ジュバ。国連の保護下にある国内避難民保護区は、戦闘を逃れた約4万人で過密状態だった。身を寄せる人々は気温40度近い炎天下、「水、食料、トイレ、全部不十分だ」と悲鳴をあげていた。こうした国連の保護区に逃れた避難民は全土で約23万人いる。
サディア・アバンジさん(38)は今年1月、戦闘が激しかった南部イエイから娘6人を連れて、ジュバの保護区へ逃げてきた。5カ月近く経った今も避難民の登録ができず、食料の配給を受けられない。毎日、保護区から数キロ離れた場所へ野生のキャッサバの葉を採りに行って飢えをしのぐが、「外に出る時はレイプが怖い」と語る。
同じくジュバの保護区に暮らすシュオル・ロムさん(35)も「地方では戦闘が収まらず、毎日のように市民が殺されている」と話す。「PKO部隊は保護区内の治安を強化してくれた。でも、保護区外の人々は常に恐怖を感じながら生活している」と指摘する。
ジュバの国立病院を訪れると、栄養失調になり、手当てを受ける子どもたちであふれていた。同病院のフィリックス・ニャンゴラ医師は「この数カ月、戦闘は激化の一途をたどり、ますます市民に食べ物が行き渡らなくなった。栄養失調の子どもの増加が止まらない」と嘆いた。
国連は今年2月、南スーダンで…