4月に開かれたみなし仮設入居者の「広場」。会場で行われた「笑いヨガ」では多くの人が笑顔を見せた=4月2日、熊本県益城町の広安西小学校、小宮路勝撮影
熊本地震で自宅が全半壊し、アパートなどに移った「みなし仮設」入居者の交流の場を広げようと、熊本県益城町の被災者を支援する団体が月に数回「カフェ」を開くことを企画している。「孤独死」を防ぐつながりをつくることを目指し、6月1日から資金を募っている。
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企画したのは、益城町の被災者が暮らす熊本市内などのみなし仮設約1400世帯を町の委託で訪問している見守り団体「よか隊ネット熊本」。
市街地に点在するみなし仮設は、集会場があるプレハブの応急仮設住宅団地に比べてまとまった支援の手が入りにくい。急病時に頼りたい相手が近くにいなくて「孤独死」に陥ったり、ストレスで自死に至ったりする懸念もある。
熊本地震では、住宅確保のためにみなし仮設の活用が推奨され、プレハブ仮設の4倍近くになる約1万5千世帯に上り、各自治体が生活状況の把握を進めている。県の調べでは、これまでに県内で4人が誰にもみとられずに亡くなった。
同ネットはこれまで、みなし仮設入居者が音楽などを楽しんだり、悩みを話しあったりする「広場」を町内の小学校で開催。4月に開いた2回目の広場には、ひとり暮らしの高齢者ら約610人が集まった。「回数を増やして」「近くで開かれれば行きたい」などの要望があり、自主事業として熊本市内などに「つながるCafe」と名付けた新たな交流の場をつくることを企画した。
様々なNPOなどに運営団体になってもらい、同ネットが基金で支える仕組みを想定する。月に数回、将棋や手芸などの趣味やお茶を囲む交流会を、まずは20カ所ほどで開くことを目指し、1日から資金を寄付サイト「ジャパンギビング」(
http://japangiving.jp/
)で募っている。運営団体も募集する。同ネット事務局長の江崎太郎さん(37)は「今の支援の枠組みだけでは限界がある。多くの人の手で支えられる体制をつくっていきたい」と話している。(平井良和)