１９７１年の渋谷暴動事件で命を落とした新潟県警の中村恒雄巡査（当時２１、殉職後に警部補に昇進）を悼む慰霊碑は、東京・渋谷の街中にひっそりとたたずんでいる。あれから４６年。警視庁が殺人などの容疑で大坂正明容疑者（６７）を再逮捕した７日、事件の現場付近を記者が歩いた。

大坂容疑者、再逮捕に無言 渋谷暴動事件で殺人容疑など

大坂容疑者が再逮捕された午前１１時３５分ごろ、中村警部補の兄の友人、相田雅夫さん（７１）が慰霊碑を訪れた。「節目としてきました。きちんと当時やこれまでの状況を話してほしい」と話した。

慰霊碑は黒い石でできており、高さ６０センチほど。「星一つ 落ちて都の 寒椿」という詩が刻まれている。当時、新潟県警の同僚が寄せた句だという。碑の前には小さな花瓶。白や黄色の菊が供えられていた。中村警部補は４６年前、この慰霊碑のそばに倒れていた。

慰霊碑ができたのは２０００年。精米店の一角にある。店主の妻（６９）は「中村さんは悲惨な亡くなり方で、みんなずっと気にかけてきたからね」。大坂容疑者とみられる男が見つかったと報じられた後、慰霊碑に供えられる花が増えたように感じる。当時、酒屋や肉屋などが並んでいた商店街は、いまではカフェや雑貨屋が点在する地区に様変わりした。

中村警部補が襲撃されたのは、…