「共謀罪」について話す池内了・名古屋大名誉教授=迫和義撮影
「共謀罪」の趣旨を盛りこんだ組織的犯罪処罰法改正案が国会で議論されている。政府は「テロ対策に必要」との立場だが、捜査当局による乱用や「表現の自由」などの侵害を危惧する声もある。
「軍学共同」の研究に反対する宇宙物理学者の池内了さん(72)は科学者が社会問題に意見することができなくなるのではないかと危惧します。
特集:「共謀罪」
《社会問題について意見する科学者が監視されるのではないか。》
作家や科学者らでつくる「世界平和アピール七人委員会」では、市民に端的に問題点を伝えようと、4月に「共謀罪」法案に反対する声明を発表しました。私も委員を務めています。捜査機関が嫌疑があると判断すれば、任意捜査ができることを危惧しています。市民への監視が強まるからです。
憲法19条で思想、良心の自由を侵してはならないとされていますが、「共謀罪」が成立したら、計画に合意し、準備行為をした段階で罪になる。拡大解釈によって内面に介入され、政府を批判しただけで捜査対象になるのではないかと、非常に心配です。
科学者の歴史を振り返ると思想…