過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者、バグダディ容疑者と見られる男。2014年7月にインターネットに投稿された動画から=ロイター
ロシア国防省は16日、ロシア軍が5月28日にシリア国内で実施した空爆により、過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者、アブバクル・バグダディ容疑者が死亡した可能性があると発表した。ISはシリア、イラク両国で支配地域を縮小させ続けており、同容疑者の死亡が確認されれば、弱体化がいっそう進むのは必至だ。
ロシア国防省によると、ロシア軍は5月下旬、ISの幹部がシリア北部ラッカの南部で会合を開くとの情報を入手。無人機で会合場所を確認し、同28日午前0時半ごろから空軍機で攻撃。複数の幹部司令官のほか約30人の指揮官、さらに300人近い戦闘員を殺害したとしている。この中にバグダディ容疑者が含まれていたとの情報があり、確認を進めている。ラブロフ外相は16日の会見で「まだ100%の確証はない」と述べた。
一方、米国主導の対IS有志連合の報道官は同日、AFP通信に対し、バグダディ容疑者の死亡は「確認できない」と述べた。
バグダディ容疑者は、ISによる「国家樹立宣言」後の2014年7月、イラク北部モスルのモスクで説教する様子の動画が公表されて以来、所在は確認されていない。同容疑者が空爆で死亡、あるいは負傷したとする情報はこれまでもあったが、確認されていなかった。ロシア政府が死亡の可能性を発表したのは初めて。(モスクワ=駒木明義、ドバイ=渡辺淳基)