安藤ハザマの野村俊明社長(中央)ら幹部が会見を開き、領収書の改ざんについて謝罪した=東京都港区、安藤ハザマ本社
東京電力福島第一原発事故後の除染事業を受注した準大手ゼネコンの安藤ハザマ(東京都港区)が、作業員の宿泊費用を水増しした領収書を作成するよう下請け会社に指示していたと明らかにした。領収書の水増し額は計約8千万円にのぼるが、実際に発注者の福島県いわき市と田村市から水増し分の支払いを受けたかは「調査中」としている。
産経新聞が7日朝刊で領収書の改ざんを指摘し、同社が9日に会見を開いて説明した。
安藤ハザマによると、同社は2012年10月~14年8月、共同事業体(JV)の一員として、いわき市発注の除染事業を実施。現場の担当者が下請け会社に対し、実際は1人1泊5千円だった作業員の宿泊単価を2500円増やし、宿泊人数も約4300人水増しして、実際よりも額面が計約5千万円多い領収書を作成させた。
また、13年8月~15年7月に実施された田村市発注の除染事業でも、5千円の宿泊単価を500円、宿泊人数も約4500人水増しして、額面が計約3千万円多い領収書を作成させた。これらの領収書は発注者の2市に提出したが、額面通りに支払いを受けたかについては「確認できていない」と説明した。
これに対していわき市は9日の取材に、安藤ハザマが提出した領収書通りに支払ったかは「調査中」とし、田村市は領収書分の金額を支払った、としている。
同社は水増し分の支払いを受けたかや、改ざんを指示した理由などについて、約1週間かけて調べるという。環境省も調査チームを立ち上げ、県や両市と連携してヒアリングを進める。
安藤ハザマの野村俊明社長は、会見の冒頭に「あってはならない行為。多大な心配をおかけして申し訳ない」と謝罪した。