招待試合で本塁打を放ち、チームメートと喜ぶ清宮
第99回全国高校野球選手権の地方大会が始まった。注目は早稲田実(西東京)の主将、清宮幸太郎(3年)だ。最後の夏に挑むスラッガーの胸中は、いかに。
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最後の夏を前にした6月中旬、早稲田実(西東京)の清宮は少し考えたあといまの心境について穏やかな顔で語った。
「小学生のころは甲子園を見るのが待ち遠しかった。今は春、夏とすぐにやってくる。ここまであっという間でした」
1年夏に甲子園で2本塁打を放ち、全国に実力を示した。今春、2度目の甲子園へ。その打撃を一目見ようと多くのファンが詰めかけた。人気は全国におよび、5、6月は招待試合で熊本、沖縄、愛知、香川を訪ねた。清宮はうれしそうに話す。「たくさん見に来てくれるのをモチベーションにしている」。力むどころか愛知では3試合で4本塁打を放ち、期待通り高校通算本塁打数を100の大台にのせた。
清宮の打撃フォームは年々、変わってきている。1年時は思い切り踏み込んで打った。2年時からは踏み出す位置は軸足と平行にしたり、足の上げ方も小さくなったり。ライバルたちの「清宮対策」に対応すべく、日々、改良を重ねる。
豪快なスイング、強烈な打球の陰には丁寧な練習がある。例えば、普段の打撃練習を見ると、清宮は驚くほど打てない。空振りもする。「打撃は毎回違う。一つの対処法では直らないので、たくさんの引き出しを見つけていくことが大事。映像でイチローさんも一回一回違うって言っていましたし」と話す。
一方、変えなかったこともある。打てると思った球は振るということだ。「そこは大事にしています。中学まで父親から『ベースの上に来たら全部打っちゃえよ』って言われていた」。常に積極的な姿勢で、甘い球を逃さずにきた。
王貞治、荒木大輔らスターの系譜がある早稲田実。清宮は「早実というよりは早稲田。父親が早稲田なので憧れた」と言う。父・克幸さんは熱血漢で知られるラガーマン。早大で主将、監督も務めた。もう一つの入学理由は、2006年夏に全国制覇した先輩斎藤佑樹らの活躍だ。「やっぱり『佑ちゃん』ですよね。正直、自分にとっては『佑ちゃん』です」
いま、小学1年生で見たあのときのスターと同じ高校3年になり、同じように全国制覇を目指す。注目度は随一。世代を代表する強打者として、「本塁打は二の次。チームの勝利が一番。そのなかで自分も成長したい」。(坂名信行)