絵本を読んだベラルーシの子どもたちから届いた絵を広げるうみのしほさん=愛知県豊橋市
広島で被爆し、12歳で亡くなった佐々木禎子さんを紹介した絵本「おりづるの旅 さだこの祈りをのせて」(PHP研究所)。広島市のNGOが訳文を貼って66の国と地域に寄贈し、世界に広がっている。今年、作家うみのしほさん(70)=愛知県豊橋市=の元に、1986年のチェルノブイリ原発事故の被害を受けたベラルーシから、子どもたちの絵が届いた。
特集:核といのちを考える
原爆症の病床で、千羽鶴に願いを託したエピソードは「さだこの折り鶴」として知られている。96年、うみのさんに出版社からこの物語の執筆依頼があった。禎子さんは、名古屋の高校生が広島の病院へ贈った千羽鶴がきっかけで、鶴を折り始めたと言われる。うみのさんは、折り鶴の物語が世界へ広まり、米国に平和の像がつくられたことを取材し、児童書を98年に出版。2003年には、絵本「おりづるの旅」を絵本画家の狩野富貴子さんとともに出した。
絵本を世界に届ける活動をするのは、NGO「ANT―Hiroshima」。04年、ANTの前身の団体が絵本の日本語の上に訳文を貼り、アフガニスタンに届けたのがきっかけ。「自分の国でも読んでもらいたい」という声を受け、届ける先は広がった。
ANT代表の渡部朋子さん(63)は「各地に届けて、『本には力がある』と実感した。この絵本は、悲しみを共有できる前半と、平和の像をつくろうと子どもたちが活動する後半の2部構成になっていることで、受け入れられるのだと感じる」と話す。
ANTの活動を知った広島県福…