会見するカラーの庵野秀明社長(左)、ドワンゴの川上量生会長=福岡市中央区、山下裕志撮影
アニメ「エヴァンゲリオン」や映画「シン・ゴジラ」を手がけた庵野秀明氏が社長を務める制作会社カラー(東京)や、「ニコニコ動画」のドワンゴ(同)が、福岡市に新しいアニメ・CG制作会社を共同で立ち上げた。今後、エヴァンゲリオンの新作にも関わる予定という。カラーが出資して地方に制作会社を作るのは初めて。
12日に庵野氏らが福岡市で記者会見した。新会社の名前は「プロジェクトスタジオQ」。カラーとドワンゴ、福岡県内で専門学校を運営する麻生塾(本部・福岡市)が500万円ずつ出資し、3日付で設立した。ドワンゴの太田豊紀取締役が社長となり、庵野氏は「創作管理統括」に就いた。庵野氏は「20年前は東京でないとアニメを作れなかったが、デジタル化が進み、東京にこだわる必要もなくなった」と語った。
ドワンゴの川上量生会長は「アニメ業界は人材不足だ。東京ではなく、地方に眠っている人材を活用できないか」と話した。地元で雇用する人数は未定だが、「20~30人ほどいれば、企画が成立する」という。さらに「福岡は仕事がなくても来たい、仕事を作ってでも来たい場所だ」とも語った。
日本動画協会の発表によると、アニメの制作会社の売上高は、2002年の1366億円から、15年には2007億円へ伸びている。制作会社の9割近くが東京にある一方、東京に本社のある制作会社が、地方にスタジオを作る動きも出始めているという。また、京都アニメーション(京都)やピーエーワークス(富山)など、地方を拠点にしながら、精力的に作品を生み出している制作会社もある。(山下裕志)