中京大中京の4番鵜飼=山口史朗撮影
高校通算56本塁打。高校日本代表候補にも選ばれている中京大中京の4番打者が苦しんでいる。鵜飼航丞(こうすけ)。愛知大会5回戦を終え、計12打数無安打。だが、悩んでばかりもいられない。25日の準々決勝の相手は、昨夏敗れた愛工大名電。因縁の相手との一戦で「甘い球を一発で仕留める」と燃えている。
動画もニュースもたっぷり!「バーチャル高校野球」
各大会の組み合わせ・ライブ中継予定はこちら
みんなで決める歴代名勝負 甲子園ベストゲーム47
23日の5回戦で高蔵寺にコールド勝ちした後、鵜飼は名電との一戦にかける思いを口にした。「チームとして勝つこと。状況に応じたバッティングをしっかりしたい」
高校入学から6月までに積み上げた本塁打は56。中京大中京では主将で1番を打つ伊藤康祐とともに「U18侍ジャパン」の1次候補30人に入った。右打席から放つ放物線は、長距離打者のそれだ。
暗転したのは6月上旬。練習試合の翌朝、目が覚めると左太ももが腫れ上がっていた。「肉離れの一歩手前」という状況で、夏へ向けた最後の追い込み練習を回避せざるをえなかった。
愛知大会の開幕直前に復帰したが、「打撃の感覚が戻っていない」。タイミングがうまく取れず、23日も3打数無安打。遊ゴロに倒れた第1打席を「好きなコース。良いときならホームランかライナーになる」と首をかしげた。
ただ、「周りに助けられている」と笑顔もある。この日、チームは10安打10得点。3安打で打線を引っ張った伊藤康は言う。
「鵜飼には、今打たなくてもいいぞって言ってるんです。準決勝とか決勝とかで打ってくれればいい。なんなら、愛知大会は0本でもいいから、甲子園で爆発すればいい。それまでは自分が打ちます」
愛工大名電には昨夏の4回戦で1―7で敗れ、鵜飼も2打数無安打だった。期する思いはもちろんある。「これから先の大事な試合で打てるように、しっかり修正して挑みたい」。仲間に支えられた4番打者。その思いに、今こそ応えたい。(山口史朗)