今季まだ本塁打がない筒香(D)=16日、横浜スタジアム
3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場選手が、プロ野球のシーズン序盤で苦しんでいる。「侍ジャパン」の4番、筒香(D)は、17日までの14試合60打席で本塁打ゼロ、打点1。中田(日)、菅野(巨)らも調子が上がらない。
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筒香は「(開幕当初は)体の中の感覚にズレがあった」という。「何も心配していない」と繰り返すが、本心は違うはずだ。14日のヤクルト戦では九回の守備に就こうとしたところで右太ももがつり、途中交代。体調が万全でないのは明らかで、4月終了時点(27試合)で8本塁打、17打点だった昨年の姿とはほど遠い。
侍ジャパンで5番を任された中田(日)は9試合ノーアーチ。右股関節を痛めて13日に1軍登録を抹消された。松田(ソ)も打率1割台で、本塁打がない。山田(ヤ)は15日のDeNA戦で今季2号を放ち、ようやく状態が上がってきた。
2006年の第1回WBC優勝メンバー、多村仁志さんは、海外の投手の「手元で動く球」の残像があると分析する。「WBCでは汚い回転の球を引きつけて対応した。日本の投手のきれいな球筋とは違う。スイングの軌道を元に戻すのに手間取っている選手がいるように見える」
投手では日本のエースだった菅野(巨)が2試合に先発して1勝、防御率4・26。同じく先発陣の一角を担った石川(ロ)は2連敗スタート。武田(ソ)は2試合に投げた後、右肩の炎症でリハビリに入った。
WBCの使用球は滑りやすく、強く握る必要があるため、通常より肩やひじに負担がかかるといわれている。武田の離脱に際し、チームの工藤監督は「(WBCのボールの)影響は多少あると思う」と話した。
右の下手投げで第1、2回大会の連覇に貢献した渡辺俊介さんは、精神面のコントロールの難しさを語る。「日本シリーズの直後に、長いシーズンが始まるような感覚だった。例年と違う時間の流れに、気持ちの切り替えがうまくできなかった」と振り返った。
元気なWBC組もいる。坂本勇(巨)は打率3割7分5厘で、セ・リーグ1位タイ。「正直なところ疲れている」と言いつつ、「自分の打撃は何も変わらない。すんなりシーズンに入っていけた」。内川(ソ)も打撃3部門でパ・リーグ上位。他の代表選手が低調な分、活躍が際立っている。
■主なWBC出場選手のシーズン成績(野手)
(数字は左から試合・打率・本塁打・打点・盗塁)
筒香(D) 14 .255 0 1 0
山田(ヤ) 14 .240 2 6 4
坂本勇(巨) 14 .375 1 7 2
菊池(広) 15 .281 1 5 0
鈴木(広) 15 .338 1 11 2
中田(日) 9 .200 0 1 0
内川(ソ) 14 .340 4 12 0
松田(ソ) 14 .192 0 4 0
※成績は17日まで
■主なWBC出場選手のシーズン成績(投手)
(数字は左から試合・勝・敗・セーブ・防御率)
菅野(巨) 2 1 0 0 4・26
石川(ロ) 2 0 2 0 5・63
武田(ソ) 2 1 1 0 5・91
則本(楽) 2 1 1 0 5・73
松井裕(楽) 9 2 0 6 0・00
※成績は17日まで