(26日、ヤクルト11―10中日)
負ければ自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が消えた試合で、最下位ヤクルトが10点差逆転の奇跡を起こした。最後は十回、代打大松の一発でドラマを完結させた。
ヤクルト、10点差から逆転勝利 セ・リーグ66年ぶり
プロ野球速報
六回を終えて0―10。七回に代打中村が2ランを放ったが、まだ大勢に影響はなかった。
空気が一変したのは八回だ。先頭打者の23歳、2年目の山崎が俊足を飛ばして二ゴロを内野安打にした。前日に昇格したばかり。四回に送球ミスが失点につながり、「何とか取り返したかった」。ここから打者14人の猛攻が始まった。
続くバレンティンの2ランで6点差。山田の四球後に中日先発の大野を降板に追い込むと、救援陣にも襲いかかった。代打上田の犠飛、中村、坂口、山崎の3連続適時打で2点差。大入りの右翼席がざわつく。「雰囲気に鳥肌が立った」というバレンティンが粘って四球を選ぶと、山田は左前へ運んだ。2者生還。ついに同点に追いついた。
前夜から若手中心の布陣に切り替え、この日もスタメンに25歳以下の選手が5人並んだ。来季以降を見据えているのは確かだ。
若い選手たちはミスもするが、先を読みすぎることなく、ゲームを捨てなかった。それがセ・リーグで66年ぶりとなる大逆転劇を生んだ。山田は「あり得ない」と一言。今季だけで14連敗と10連敗を味わった真中監督は「悪い記録ばかりだったので、いい記録も出て良かった」と笑った。(伊藤雅哉)
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○大松(ヤ) 今季2本目の代打サヨナラ本塁打。「手応えは完璧だった。連敗も味わって、チームが一つの方向に向かう大切さをみんなが学んだと思う」
●大野(中) 今季最多10点のリードを守りきれず。2本塁打を浴びるなど5失点。「後ろのピッチャーに申し訳ない」
●伊藤(中) サヨナラ本塁打を浴びる。「不本意な一球です。しっかりつないでいけば勝てる可能性はあった」
●近藤投手コーチ(中) 投手陣が崩壊。「選手を責めるわけにはいかない。こうなったのは全て僕の責任。申し訳ない」