「有給インターン」に参加する大学生に対し、業務を教えるインデングループの社員(左)=京都市中京区
学生が報酬をもらいながらインターンシップ(就業体験)できる取り組みが、中小企業で広がり始めた。人手が集まりにくい中小にとって、若手社員の離職は死活問題。「有給インターン」で仕事への理解を深めてもらうねらいだ。
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観光客向けの飲食店などを手がけるインデングループ(京都市中京区)は3年前から、大学生向けに有給インターンを実施する。参加者は、新商品をつくった時の広報戦略などに携わる。週2日以上の参加が原則で、時給は900円からだ。会社名の入った自分の名刺を持ち、社員と営業にも出向く。
インデンでは仕事を半年以上学ぶ参加者も多く、2016年4月以降、インターン経験者3人が入社した。来春入社の伊吹玲実さん(22)は「社会人と交渉する経験は貴重で、勉強になることばかり」と振り返った。同社の猪師嵩希(いのしこうき)取締役(32)は「経験者の方が会社の事業や理念に共感してくれやすい」と語る。有給インターンは、一般的な面接選考よりもやや費用がかかるが、業務への貢献や入社後の定着率が高くなるなどのメリットが大きいという。このため来年4月の大卒採用からは、インターン経験者のみの採用に切り替える予定だ。
鋼材加工メーカーの梅南(ばいなん)鋼材(大阪市西成区)は、16年4月入社の応募者に対し、3日連続の有給インターンを実施した。入社数年ほどで離職する例が過去にあったためだ。学生は、営業や製造現場の見学などをする。堂上勝己社長(65)は「採用は企業と学生のお見合い。早い段階で会社の現状を見てもらい、離職を防ぎたい」。
内定者が入社までインターン生…