衆院安全保障委の閉会中審査で、答弁内容を確認する小野寺五典防衛相(中央)=10日午前9時31分、岩下毅撮影
南スーダン国連平和維持活動(PKO)日報問題で、10日午前に開かれた衆院の閉会中審査は、「主役」の稲田朋美元防衛相が不在の中で進んだ。防衛省側は特別防衛監察の結果に沿って繰り返し答弁。押し問答が続き、事実関係の解明は進まなかった。
稲田氏の関与を否定、再調査拒否 日報非公表で小野寺氏
「防衛大臣、事務次官、陸上幕僚長がそろって辞任する異常な状況だ」
新たに防衛相に就いた小野寺五典氏は、現状の認識をこう語った。「国民の皆さんに申し訳ない。現場の自衛隊員に齟齬(そご)を来さないようにしたい」と再発防止を強調した。一方で、日報の電子データを防衛省が非公表にした経緯に稲田氏が関与したかどうかは、踏み込んだ説明を避けた。
7月末に発表された特別防衛監察の結果では、2月13日と15日の稲田氏が出席した幹部会議で、「データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できない」とした。しかし、「日報データの存在を示す書面を用いた報告がなされた事実や、非公表の了承を求める報告がなされた事実はなかった」と結論づけた。
野党側はこの日、「データの存在について何らかの発言があった」という表現はあいまいだと追及。しかし、省側は「発言があったかどうかで齟齬があった」との説明を重ね、「押し問答だ」という批判も出た。
小野寺氏は、特別防衛監察が稲田氏に聴取した結果を踏まえ、「大臣に報告をしたかどうかは意見が分かれた。ただ、(報告をした事実が)『ない』とした方は明確に『なかった』と終始一貫している」と強調。「『したかもしれない』という方は複数回意見を聞かれているが、意見が二転三転し、あいまいなところもあった」と説明した。
第三者機関による再調査について聞かれた小野寺氏は、「防衛監察本部で徹底的に調査した」として再調査を否定した。(岡本玄)