凱旋門をくぐるチーのイラスト(C)こなみかなた/講談社
「チー、ボンジュール!」。海外での日本製アニメ・マンガに対する見方を変える作品となるか。常人離れした主人公が異世界で戦うファンタジー、ではなく、猫のいる家庭の何げない日常を描いたアニメ「こねこのチー」(原作マンガ「チーズスイートホーム」=こなみかなた作、講談社刊)がフランスで人気だ。7月にパリで開かれた、アニメや漫画など日本文化を紹介するイベント「ジャパンエキスポ」はチーを公式ゲストとして招待。着ぐるみのショーに大勢の子供が声援を送り、キャラクター文具や日用品などが並んだ物販コーナーもにぎわった。
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「こねこのチー」は、親兄弟と生き別れた猫のチーがマンション住まいの山田一家に拾われ、猫の目から見た人間の暮らしなどを描いた作品。現在3DCGアニメがテレビ東京系列で放送され、Amazonビデオでも配信されている。
講談社によると原作は米国や中国など23カ国・地域で累計350万部を出版。2010年から出されたフランスでの評判は特に高く、「名探偵コナン」「ドラゴンボール」などを抑えて2016年まで5年連続で子供向けマンガのセールス1位を記録しているという。ジャパンエキスポの企画を担当した講談社ライツ事業部の北本かおり副部長は「若者に人気のバトルものとは異なる、広い層に親しまれる21世紀の古典に育てたい」と期待する。
もともと猫を飼っている家庭が多いフランス。エキスポ会場でチーのデザインTシャツを買った女性(24)は、「チーはうちの猫と同じようなしぐさをして可愛い」とほほえんだ。フランス語版を出版するグレナ社のブノア・ユオ漫画部編集長は「作品で描かれた家庭の姿が、自国のことのように違和感なく受け入れられ共感を集めている」と話す。フランスではチーのヒットの影響で、ほかにも猫を主人公にしたマンガが生まれているという。(戸田拓)