政務活動費の使途を示す領収書。「新年会会費」の文字が見える=東京都庁
東京都議会(定数127)の2016年度の政務活動費(政活費)の収支報告が30日公開され、都議が地元団体の新年会などの会費に多額を充てている様子が浮き彫りになった。会費支出額のうち約86%は自民党系会派が使っていた。飲食を伴う会合への支出には批判があり、都議会では見直しの議論が近く始まる見通しだ。
秘書は次男、政活費で給与 都議会、黒塗り領収書を公開
収支報告や、同時に公開された使途を示す領収書の写しによると、交付総額9億180万円のうち実際に使われたのは約8億2874万円。このうち約1210万円が業界団体や地元町会の会合などの会費に充てられていた。内訳は自民系会派が最多の約1044万円、公明党が約136万円、共産党約6万円、民進党系会派約6万円など。
16年度は今年7月の都議選を控えた時期で、「選挙目的の支出」との批判を避けるため、会派の判断などで政活費による支出が抑制された。このため、都議会全体の会費支出額は前年度の約47%に減ったが、支出回数は年末年始を中心になお多かった。自民系会派は約1044万円のうち約640万円(約61%)を昨年12月~今年2月に支出。この期間には43人が計1605回支出し、1人平均約37回、約15万円を使った計算になる。
ある自民都議は同期間に町会の新年会などに多く顔を出し、政活費からの支出回数は87回に上った。「会合に呼ばれると、行かざるを得ない」と言う。会場にいる時間は20~40分ほど。あいさつをし、出席者の陳情を受け、食事もするという。「来賓として呼ばれて会費を全て自腹で払うのはきつい。議員のなり手がいなくなる」と漏らした。
今年1月、多い日には八つの新年会などに出た自民の前都議は「会合では各種団体が抱える課題が分かる」と語る一方、「欠席したら『招いたのに来なかった』と言われ、印象が悪くなる」と話した。一方、都内の業界団体の役員は「新年会で都議と政策の話はしない」。都議は毎年、「皆様の発展を祈念します」など型どおりのあいさつを済ませ、出ていくという。
都議会各会派は、会費に使える…