学校法人加計(かけ)学園(岡山市)が愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画で、今治市が市有地を学園に無償譲渡したのは違法だとして、市民団体の共同代表2人が6日、市有地の評価額とされる36億7500万円を学園に返還させることなどを市に求める住民訴訟を、松山地裁に起こした。
特集:加計学園問題
市民団体は「今治加計獣医学部問題を考える会」。訴状によると、共同代表らは「獣医学部の新設は今治市にとって公益性がなく、加計学園の自己責任で行うべきものだ」としたうえで、「土地の無償譲渡は市の裁量権の濫用(らんよう)または逸脱で違法」と指摘。評価額の36億7500万円は学園の不当利得にあたり、学園が市に返還すべきだと主張した。また今後、学園に対する市からの補助金も同様に差し止めるよう求めた。
市民団体は6月、市有地の無償提供と補助金支出の差し止めを求める住民監査請求を市監査委員に行ったが、8月に棄却されていた。黒川敦彦共同代表はこの日午前、松山地裁に訴状を出したあと、報道陣に「建築費の見積もりの根拠などについても、裁判を通じて一定の情報公開がされると思っている」と述べた。