現場をうかがう男=防犯カメラの映像から
神戸市長田区で12日、指定暴力団神戸山口組を離脱した勢力が結成した任俠(にんきょう)山口組の関係者が射殺された事件で、近くの防犯カメラに、実行犯の男とは別に、反対側から現場の様子をうかがい、拳銃のようなものを持って走って逃げる男の様子が映っていた。兵庫県警は、この男も任俠山口組の織田絆誠(よしのり)代表(50)を狙った襲撃計画に加わった犯行グループの一人とみて捜査している。
発砲直前「撃ってみんかい」 神戸山口組の対立が関係か
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現場西側の市営住宅に設置された防犯カメラの映像によると、男はヘルメットか帽子のようなものをかぶり、黄緑色の上着姿。住宅敷地内をゆっくり歩いて現場の方に近づき、小さな荷物を左手で抱えるように持っていた。黒い手袋をしているようにも見える。
この後、織田代表らを乗せたとみられるワゴン車など3台が、現場につながる市営住宅脇の路地にさしかかり、この様子は市営住宅の別の防犯カメラが記録していた。
県警によると、この直後、実行犯の男らが乗った車がワゴン車と衝突。男は、織田代表のボディーガード役だった組関係者の楠本勇浩さん(44)と路上でもみあった後、拳銃を複数回発砲したとみられる。
防犯カメラには3台の車がバックし、互いに衝突しながら路地を戻っていく状況が映っていた。黄緑色の上着の男が車列の後ろから現場の方向をうかがい、あわてて引き返す様子も記録されていた。男はやってきたのと同じルートを走って逃げ、映像は不鮮明ながら、拳銃のようなものを持っているように見える。
捜査関係者によると、県警はこの男について、車列をうかがう様子や現場から逃走した状況から犯行グループの一人とみている。
県警は13日、楠本さんの遺体を司法解剖した。右目付近を撃たれ、ほかに撃たれた痕はなかったという。