東京ゲームショウのステージで公開された「eスポーツ」の対戦=21日午後、千葉市美浜区の幕張メッセ、林敏行撮影
21日から千葉市の幕張メッセで開かれている東京ゲームショウ。最新のゲーム機やソフトの展示とは別に力が入っているのが、「eスポーツ」関連のイベントだ。日本ではなじみが薄いのに、業界が力を入れる理由は?
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スポットライトを浴びた選手が、手にしたコントローラーのボタンを連打し、スティックを動かす。会場の大画面には、人気ゲーム「ストリートファイターⅤ」のキャラクターが格闘する様子が映し出される。
「がんがん攻めてきた」
「最後は投げ、お見事!」
実況の声が響き、見守る観客らから拍手が沸いた。
ここは、東京ゲームショウが開かれている千葉市の幕張メッセ。初日の21日、さっそく「eスポーツ」の模擬試合が披露された。
今回のゲームショウでは、eスポーツに関連する展示や講演会などのイベントが目白押しだ。一般公開される23、24日には、各ソフトメーカーが「トップ選手」を招いて大会を開く。
ゲーム業界は、今回のゲームショウをeスポーツ普及の足がかりにしたいと考えている。
日本のゲーム市場は、このままだとまもなくピークを迎えてしまう。「ファミ通」を発行するGzブレインによると、家庭用ゲーム市場は2007年から減少が始まった。補うようにスマホなどで遊ぶオンラインゲームが伸びているが、その伸びも限界が近い。
そこで、目をつけたのがeスポーツだ。ゲームをサッカーや野球などプロスポーツと同じようにとらえ、ビジネスに成長させる。すでに欧米や韓国などでは、市場が急成長している。
Gzブレインの浜村弘一社長は、「いかにゲームをしない人を巻き込むビジネスにできるかがポイントだ」と話す。
海外のeスポーツでは、ゲームの販売を促進することだけが目的ではなく、大会のスポンサー料や放映料、グッズ販売などもビジネスになっている。
オランダの調査会社Newzooによると、eスポーツの市場規模は、16年に世界で4億9300万ドル(約550億円)に達した。14年の約2・5倍だ。賞金総額5千ドル(約55万円)以上の大会は年間424件開かれ、eスポーツを視聴するファンは3億2千万人に上った。
米プロバスケットボールNBAのアリーナを満杯の観客で埋め、ネットでは最大で同時に1470万人が視聴した大会もあった。この大会の賞金総額は670万ドル(約7億円)。米国では、飲料メーカーや自動車メーカーが大会や選手のスポンサーとなり、大手スポーツ専門チャンネル「ESPN」で大会の放送が始まるなど、ビジネスの舞台が広がっている。
欧州では英プレミアリーグなど…