イラク北部キルクークで25日、独立の賛否を問う住民投票で票を投じる住民=杉本康弘撮影
国際社会が猛反対する中、少数民族クルド人を主体とするイラク北部の自治政府「クルディスタン地域政府」(KRG)が25日、独立の賛否を問う住民投票実施に踏み切った。クルド人の住民の多くは「民族の未来をひらく」として、賛成票を投じた。一方、イラク政府は投票の正当性を否定。隣国のトルコとイランはKRGの領域近くで軍事演習を実施し、一触即発の緊張が続いている。
KRGの「首都」で、クルド人住民の多いアルビルでは、午前8時の投票開始前から有権者が投票所前に列を作った。中心部アザディ地区の高校では、近所の住民が集まり、投票実施を祝うごちそうをつくるため、牛を解体していた。
「投票の瞬間、抑圧から解放され、自由になった気がした。クルド人はずっとイラク政府に支配されてきた。でも今回の投票が終わったら、私たちは自分たちの将来を自分たちで決められるようになるはずだ」。賛成票を投じた警察官アリ・ファタハスさん(34)は笑顔で語った。
無職のクェスタン・スレイマンさん(32)はKRGの旗のたすきをかけて賛成に投票した。KRGの軍事組織の兵士だったいとこは、過激派組織「イスラム国」(IS)との戦闘で死亡したという。「独立までクルド人の苦難は続くが、(KRGの)バルザニ大統領は苦難を乗り越える準備をしているはずだ」
同様に賛成票を投じたゼイド・ハッサンさん(48)は、「我々は世界のために、過激派組織『イスラム国』(IS)と戦った。国際社会が我々の独立を支持しないのはおかしい」と不満を述べた。
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