衆院選で２回目となるネット選挙運動。朝日新聞の調べでは、１１８０人の候補者のうち少なくとも５８９人が、訴えや告知のツールとしてツイッターを活用している。投稿から候補者たちの「声」を分析すると、党首らが放った渾身（こんしん）のキーワードが候補者にはさほど浸透していない様子が浮かび上がった。

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特集：２０１７衆院選

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安倍晋三首相（自民党総裁）は９月２５日の記者会見で、北朝鮮情勢と少子化を「国難」と呼び、衆院解散を表明。消費増税の使い道について「国民に信を問う」とした。

衆院選が公示された今月１０日から２０日までのツイッター投稿を調べたところ、自民党候補者で「国難」という言葉を投稿したのは、ツイッターを使う同党候補１６０人のうち７人だけだった。党が発表した声明のリツイート（転送）が多く、自ら広く訴えたのは安倍首相ともう１人。「我が党の候補者達は国難を突破すべく……」。首相のアカウントは１１日、街頭演説に集まったとみられる人々へのお礼の中で触れた。

このほか、「北朝鮮」は８０件で、自民候補の全投稿６０４３件の約１％。「消費税」は１５件しかなく、自民候補者のツイッターからは首相の「主張」は見えてこない。

公約に含まれる言葉で調べると、無償化を打ち出す「教育」が２８８件と最多。首相が改正を提案した「憲法」は１５件だった。

小池百合子代表肝いりの「希望」を党名に冠する希望の党の候補者のうち、ツイッターを使うのは１０３人。「希望」という言葉を含む投稿が計１２５７件あったが、内容を見ると、投稿を広める「拡散希望」という使われ方も多かった。

公約でみると、「教育・子育て」が１９６件と最多。次いでゼロを掲げる「原発」が１２３件。多様な社会をめざす「ダイバーシティー」は５件、小池氏が唱えた経済政策「ユリノミクス」は２件だった。

公明党候補者の投稿は、公約のＰＲが主。最多は無償化を掲げる「教育」で１８５件と、全投稿の約１５％を占めた。「国難」や「加計（かけ）学園」に触れるツイートは見つからなかった。

最も活発に利用しているのが共産党だ。候補者のうち１１６人がアカウントを持ち、投稿数は計１万４６０４件と他党に比べ突出する。政策を幅広く取り上げ、最多は改憲に反対する「憲法」の８１０件で全体の約６％。「加計学園」も１９０件と力を入れる。

次いで投稿数が多いのが立憲民主党で、７３４６件。２日に枝野幸男代表が党を立ち上げたばかりで組織力不足をソーシャルメディアで補う。枝野氏が唱える「まっとうな政治」が２８７件と全投稿の約４％を占めた。

維新は教育・子育てに関する投稿が１１６件、社民は憲法が７２件とそれぞれ最多で、重要政策への訴えに重きを置いている。

ただ、５８９候補が投稿した計４万２１４０件のうち、演説場所の告知や呼びかけに関する投稿が全体の約７２％を占め、政策に関する投稿は約２１％。ツイッターを見るだけでは、政党や候補者の考えまで把握するのは難しいと言えそうだ。

候補者側も知恵を絞る。動画やブログに誘導する文言が３７３６件（全体の約９％）に含まれ、１４０文字というツイッターの制限を超えて政策などを訴える工夫がうかがえた。（編集委員・須藤龍也）

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〈分析の方法〉 米クリムゾン・ヘキサゴン社のソーシャルメディア分析システムを使い、候補者のツイッターに投稿される言葉を分類した。候補者のツイッターアカウントは、各政党のホームページや無所属候補のサイトで公示日までに確認できたものを対象にした。

■インフルエンサーの…