料理キットを使って「彩り5種野菜の黒酢酢豚」を作る冨江さん。「あと1品、という時に便利」という=東京都内
下ごしらえされた人数分の食材や調味料がセットになった「料理キット」が人気です。忙しいけれど料理はしたい共働き世帯や、おしゃれなメニューを楽しみたい若い世代など、様々なニーズを反映した商品が登場しています。
東京都内に住む冨江裕子さん(41)は、6月から料理キットの利用を始めた。夫と6歳の息子の3人暮らし。週3回パートで働き、帰宅は遅ければ6時くらいになる。そんな時も「安心して食べられる、おいしい夕食を短時間で作りたい」と思ったことがきっかけだ。
冨江さんが利用する料理キットは、有機野菜などを宅配する「らでぃっしゅぼーや」(東京都新宿区)の料理キット「私が仕上げる10分キット」シリーズだ。和食、洋食、中華など全70ほどのメニューの中から毎週2種類が届く。主菜1品2~3人前の野菜や調味料がセットになっていて、価格は1千円前後。野菜は有機、低農薬で、化学調味料や保存料、香料、着色料は使っていない。
野菜はあらかじめ切ってあり、まな板や包丁は不要。鍋やフライパンが一つあれば10分で作れる。冨江さんは「自分ではなかなか作らない料理も、珍しい調味料をそろえたり、食材のやりくりを考えたりすることなく作れるので重宝しています。出来合いのおそうざいを買ってくるより、家族の印象もいい」と話す。
らでぃっしゅぼーやは、2014年6月に料理キットの販売を開始。販売額は昨年に比べ約1・3倍に伸びているという。食材を余らせずに済む点は、小食になる高齢世帯のニーズにも合ったと見る。
今年3月には主菜以外の2品と汁物1品が10分で作れる「一汁二菜」セットの販売も始めた。来春までにメニュー数は現在の70から100まで増やす計画だ。
一方で、時間をかけて作ることを楽しむ新しいタイプの料理キットが、若い世代を中心に人気を集めている。
昨年9月創業のベンチャー企業「ブレンド」(東京都目黒区)が販売する「Tasty Table(テイスティーテーブル)」は、魚のうろこや内臓を取り除くといった面倒な下処理は済ませているが、あえてそれ以上の手は加えていない。平均調理時間は40~45分と他の料理キットに比べて長めだ。
「サーモンポワレのオランデーズソース・グリーンアスパラを添えて」「焼きなすのポタージュスープ」……。有名レストランのシェフが監修したメニューは、仕上がりもおしゃれ。インスタグラムなどSNSを通して若者の間で人気が広がった。会員数はサービスを始めた昨年11月の約10倍になったという。
都内の女性会社員(31)も、友人がSNSに投稿した写真を見て今年5月に利用を始めた。「レストランで出てくるようなおしゃれな料理で、すてきだなと思った」。名古屋に単身赴任中の新婚の夫が東京に来る週末に、「2人で一緒に楽しみながら作っています」。主菜・副菜で2人前3千円(税別)という価格は「全然高いとは感じない。外食に比べればだいぶ安いし、自分でイチから材料をそろえれば、もっと高くつく」と受け止めている。
ブレンド代表取締役・田尾秀一…