新番付を手に笑顔を見せる安美錦
大相撲九州場所(11月12日初日、福岡国際センター)の新番付が30日に発表され、関取最年長39歳の安美錦=本名・杉野森竜児、青森県出身、伊勢ケ浜部屋=が昨年名古屋場所以来、1年4カ月ぶりに幕内復帰を果たした。元関脇土佐ノ海(現立川親方)の38歳6カ月を抜き、昭和以降で最年長の再入幕となる。
どすこいタイムズ
「やっと戻ってきたな、すごく時間がかかったなという気持ちがありますね」。安美錦はこの日、福岡・太宰府天満宮にある部屋宿舎で会見し、細い目をさらに細くして笑った。
西前頭3枚目にいた昨年の夏場所2日目、栃ノ心に敗れた後、ひざをつくように倒れ、車いすで運ばれた。左アキレス腱(けん)断裂。両ひざにも古傷があり、復帰の見通しは立たなかった。
だがリハビリ中、ブログにこう記した。「まだ自分の中で納得できるものがないので絶対に引退はしません。怪我(けが)には負けません」。十両下位に落ちていた4カ月後の秋場所に土俵に復帰。技能賞を6度獲得した業師らしい機敏な取り口が光った。徐々に番付を戻し、東十両2枚目で迎えた今年秋場所で10勝。「力が落ちているわけではない」と自信も取り戻した。
安美錦に次ぐ高齢の38歳6カ月で幕内に復帰した元関脇土佐ノ海の立川親方の時は、野球賭博問題で6人が謹慎処分を受けて幕内から多くの力士が転落したため、西十両7枚目から8勝7敗で昇進できた。「僕はラッキーだっただけ。安美錦は実力だよ。私は1場所で落ちたけど、安美錦の技術は他の力士の一段上。けがなどハンディが多い力士だけに、それを乗り越えた強さがある。三役復帰だって現実味がある」と話す。
九州場所では、新入幕から3場所連続で2桁勝利を挙げている21歳の阿武咲が新小結に昇進。大奄美が新入幕を果たした。照ノ富士は2年半ぶりに関脇に転落。大関高安は初のカド番を迎える。2連覇と節目の10度目の優勝を狙う日馬富士は東横綱に座る。(菅沼遼)