日銀の新たな経済・物価見通し
日本銀行は31日の金融政策決定会合で新たな経済・物価見通しをまとめ、2017年度の物価上昇率の見通しを7月時点の1・1%から0・8%に、18年度は1・5%から1・4%にそれぞれ引き下げた。19年度の見通しは据え置き、目標の「物価上昇率2%」の達成時期も「19年度ごろ」で変えなかった。金融政策は「現状維持」とした。
新たな見通しは3カ月に一度まとめる「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)に盛り込んだ。輸出や生産が伸び、雇用も堅調だが、賃上げの勢いは鈍い。9月の物価上昇率は0・7%にとどまり、17~18年度は従来見通しに届かないと判断した。ただ19年度は人手不足などから賃上げが広がり、物価も上がるとみている。景気判断は「緩やかに拡大している」で据え置いた。
金融政策は現状維持とし、長期金利の誘導目標は「ゼロ%程度」、金融機関から預かるお金の一部につけるマイナス金利は年0・1%で据え置く。上場投資信託(ETF)の購入額は年約6兆円を維持する。
長期金利操作やマイナス金利政策などは、政策委員9人(総裁、副総裁2人、審議委員6人)のうち賛成8、反対1の賛成多数で決めた。片岡剛士審議委員は「15年物国債金利が0・2%未満で推移するよう長期国債の買い入れを行うのが適当」などとして前回に続き反対した。新たな提案はしなかった。ETFなどの購入の方針は全員が賛成した。
黒田東彦(はるひこ)総裁が31日午後に記者会見し、決定内容について説明する。(藤田知也)