一夜明け、安否が分からない人たちの捜索が続く土砂崩落現場=2018年4月12日午前9時31分、大分県中津市耶馬渓町、金子淳撮影
住宅の裏山が崩落した大分県中津市耶馬渓(やばけい)町の現場では、夜を徹しての捜索活動が行われた。12日正午現在、5人の安否が分かっていない。自衛隊や県警、消防らが計約550人態勢で捜索を続けている。
大分・中津で土砂崩落、3世帯6人の安否確認できず
県によると、11日午前3時40分ごろに住宅の裏山が崩落し、4世帯6人の安否がわからなくなった。11日午後に会社員岩下義則さん(45)が見つかったが、死亡が確認された。安否不明なのは岩下さんの母の愛子さん(76)▽橋本アヤ子さん(86)▽橋本さんの娘の江渕めぐみさん(52)▽江渕さんの娘の優さん(21)▽岩下アヤノさん(90)。
土砂崩れの規模は幅約200メートル、高さ約100メートル、奥行き約200メートルで、一部の家屋は土砂で完全に埋まった。周辺は急傾斜地で、昨年3月に土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域に指定されている。住民がいた可能性がある部屋などを特定し、重機も使って捜索しているが、新たな土砂崩落の恐れもあり、慎重に進められている。
岩下愛子さんと田んぼが隣同士だったという佐藤節子さん(84)は「田んぼで会うと互いに作っているシイタケの値段の話をよくしていた。早く見つかってくれれば……」と話した。
また県は12日、周辺にある土砂災害の危険箇所の緊急調査を開始。県職員ら20人が崩壊の前触れや亀裂がないかを目視で調べている。国土交通省は前日に続き、土砂災害の専門家らによる調査を行っている。
中津市は現場付近の8世帯19人に避難勧告を出しており、一部の住民が近くの公民館に避難している。