新入生勧誘の場面を再現した商品開発サークル「京大工房」のメンバー=京都市左京区、槌谷綾二撮影
■「まだまだ勝手に関西遺産」
「あんた、何回生なん?」
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関西の大学生の間では、こんな風に「回生」という呼び方が定着している。京都生まれの私はこれが一般的だと思っていたが、関西以外では「年生」と呼ぶと知って驚いたことがある。
実際、関西の大学に通う現役学生に聞いてみると、静岡県出身の同志社大4回生、安池知磨さん(23)は「最初は『あれ』と思ったけれど、関西の流儀なのかと思って、なじんでいきました」。奈良県出身の関西大2回生、村井文武さん(19)も「最初、『年生』と言っていたら、サークルの先輩に『高校とは違うで』と言われたので使い出した」と振り返る。
どうして、関西では「回生」が使われているのか。調べたら、京都大が発祥のようだと分かったので、日本近現代史に詳しい京大大学文書館の西山伸(しん)教授(54)を訪ねてみた。
西山さんによれば、大学教育の仕組みが関係しているようだ。京大は1897(明治30年)年、関西初の大学として創設された。その20年前に誕生した東京大とカリキュラム制度を比較すると両校の違いがよく分かる。東大は学年ごとに履修科目が決まった「学年制」。詰め込み式の教育で試験も厳しく、不合格だと進級できなかった。時代や土地柄、官僚を急いで養成するという使命もあった。
京大は、卒業までに一定の科目を履修する「科目制」を採用した。教官にドイツ留学経験者が多く、ドイツ流の自由な学風を目指したとみられる。東大のような「学年意識」は明確ではなかったようだ。「回生」とは在籍年数を表す言葉で、4年で卒業しない場合は「5回生」「6回生」とも呼ばれる。
この言葉はいつから使われるよ…