作家の佐藤愛子さん
作家佐藤愛子さんが、自らの老いなど身辺雑記をユーモラスにつづったエッセー「九十歳。何がめでたい」の発行部数が7日、100万部に達する。小学館が発表した。昨年8月に1万4千部で発行されてから22回の刷りを重ねた。今月5日に94歳を迎えた佐藤さんはミリオンセラーに「なんで自分の本が売れるんだ?と当惑しています。本が売れて、何がめでたい」。
佐藤愛子さん「私の本の旬なんて、もう過ぎたと思いますよ」
同書をはじめ、100歳前後の高齢者が人生訓をつづるエッセーが近年よく売れている。このミリオン達成は「アラハン(アラウンドハンドレッド)本」の出版をさらに牽引(けんいん)しそうだ。
「九十歳」は、窮屈な世の中を「いちいちうるせえ」と一喝する痛快エッセー。出版取次会社大手のランキングで今年上半期の1位になっていた。
読者からの反響も大きく9歳から99歳まで、2万通を超える読者はがきが編集部に届いているという。「元気をいただきました」という声が多い。「毒づいていると私自身が元気になる。自分が元気になるように書いていたようなものです」と佐藤さんは話す。(中村真理子)