出国税のイメージ
観光庁の有識者会議は9日、観光施策の財源として検討している「出国税」について、日本人・外国人を問わず、1人1千円以内を徴収するのが適当との提言をまとめた。実現すれば1992年の地価税以来の新しい国税となるが、使い道をはじめ、あいまいな点が残っており、負担増への反発も予想される。
訪日客を2020年に4千万人、30年に6千万人に増やす目標を掲げる政府は、達成には新たな財源が必要と主張する。観光庁は9月に有識者会議(座長・山内弘隆・一橋大学大学院教授)を立ち上げ、制度の仕組みを議論してきた。
外国人だけを対象にする案も検討したが、「国際社会の理解が得られない」として断念した。帰国する訪日客や旅行や仕事で出国する日本人から集める。すでに一部自治体が「宿泊税」を導入しており、宿泊料金に上乗せする方法は難しいとして、航空運賃などに上乗せするのが現実的だと結論づけた。
財源の規模は、17年度予算に観光関連事業分として約700億円が計上されたことを根拠に「数百億円程度が必要」とし、1千円を徴収している韓国の例も参考に「1人1千円以内」とした。
出国者数は年間約4千万人(16年)で、1千円集めると約400億円の財源になる。18年度の税制改正大綱への明記を目指し、早ければ19年度から開始となる。
税収の使い道ははっきりしない…