明治神宮大会の準決勝、創成館戦でベンチ前に集まる大阪桐蔭の選手たち
しまっていこー 大阪桐蔭
大阪桐蔭の選手たちにとって、大きな課題が見つかった明治神宮大会となった。
球児の今に密着 特集「しまっていこー」
「自分たちの弱さが出た」。準決勝で創成館(長崎)に4―7で敗れた後、主将の中川卓也、副主将の根尾昂、1番の藤原恭大らが口をそろえた。
弱さとは何か。技術面で向上の余地があるのはもちろんだが、今回は特に、精神面でもろかった。
初戦となった駒大苫小牧(北海道)との準々決勝もそうだが、今大会は状態の良い選手が少なかった。エース柿木の投球も、藤原や根尾の打撃もそう。来春の選抜出場をかけた近畿大会が終わったのは11月5日。肉体的にも精神的にもホッとした部分があった。
その「個人の状態の悪さ」をそのまま「チームの雰囲気」に直結させてしまったことが、今回出た課題だった。
橋本コーチが言う。「この大会で言うと、野手陣で調子が良かったのは(7番打者の)青地くらいじゃないですかね。ただ、そんな時でも戦わないといけないのに、みんな自分の状態の悪さを引きずって、チームとして雰囲気が悪くなってしまった」
大阪桐蔭はシートノックで最後の打球を受けると、全力疾走で本塁付近まで戻ることなどを徹底している。だが、この大会は、それができていなかった。創成館戦前のノックもそう。橋本コーチが「こんなんじゃ負けるぞ」と選手に忠告もしていた。その通りの結果になってしまったのだ。
個人の結果にかかわらず、ベンチで大きな声を出していたのは中川や根尾ら、数えるくらい。どことなくどんよりとした、締まらない空気の中で試合をしてしまった。
夏までチームを引っ張ってくれた3年生にはあったチームとしての「一体感」。個人の調子にかかわらず、束になって相手に襲いかかれるのが、選抜を制した前チームの強みだった。
秋の敗戦で得た教訓をどう来春につなげるか。「気持ちの弱さ、甘い球を一発で仕留められない弱さ。冬に力をつけて、選抜を迎えたい」。中川は悔しさをかみしめるように言った。(山口史朗)