安倍晋三首相は１４日午前の衆院予算委員会で、柳瀬唯夫・元首相秘書官（現・経済産業審議官）が加計（かけ）学園関係者と面会したことについて「報告は受けていない」と述べた。柳瀬氏の説明を追認した形で、秘書官からの報告は「私がなんらか判断する必要がある時が基本で、国家の重大事でもない限り途中段階で説明を受けることはほとんどない」として、問題ないとの考えを示した。公明党の中野洋昌氏の質問に答えた。

【速報】予算委集中審議タイムライン

相次ぐセクハラ発言 放言のち謝罪、女性議員もあきれ顔

柳瀬氏は１０日に衆参両院の予算委で行われた参考人質疑で、２０１５年４月２日も含め学園関係者と首相官邸で３回面会したと明らかにした。一方、愛媛県や同県今治市の職員については「いたのかもしれない」と答弁。これに対し、愛媛県の中村時広知事は職員が受け取ったとする柳瀬氏の名刺を公開し、反論した。

首相は１４日の衆院予算委で国民民主党の玉木雄一郎共同代表の質問に答え、柳瀬氏の説明を「うそということでは全くない。彼は名刺を渡してないとは全く言っていない」と擁護。「（柳瀬氏は）３年前の記憶をひもときながら、正直に話をされていたということではないか」と強調した。

立憲民主党の川内博史氏は、首相が１３年５月に別荘で開いたバーベキューで柳瀬氏を学園関係者に紹介したのか、追及した。首相はバーベキューには大勢が参加しているとして、「常に私自身は紹介しない」と説明。妻の昭恵氏が柳瀬氏に紹介した可能性については「妻はそもそも柳瀬さんが特区担当だと知りませんから、それはまず１００％ない」と述べた。

また、首相は「（政府の国家戦略特区ワーキンググループの八田達夫座長は）柳瀬さんを含め働きかけはなかったということを明確に発言をしている」とし、学園が獣医学部を新設した過程に問題はなかったという認識を改めて示した。

公明党の中野氏は、先週の国会審議で内閣府の地方創生推進室の担当者が加計学園から便宜供与を受けていたのではないかとの指摘があったとして、事実関係をただした。

梶山弘志地方創生相は、内閣府地方創生推進室の職員が１５年８月５、６両日に熊本県、岡山市、愛媛県今治市などに出張した際に移動手段の一部に民間事業者の業務用車両を使ったと説明。法令上の問題点は「現在精査中」としつつ、「仮に問題がないにしても民間業者との関係は公務への疑いを招く結果とならないよう慎重に対応することが必要」とし、改めて職員を指導していく考えを示した。

財務省の福田淳一・前事務次官のセクハラ問題をめぐり、麻生太郎財務相は自らの言葉でセクハラ被害者に謝罪するべきだと川内氏に求められた。麻生氏は「おわびを申し上げるということは最初から申し上げたと思うけど、そう思っております。おわびを申し上げます」と述べた。麻生氏が「（女性記者に）はめられたという可能性は否定できない」と発言し、その後撤回したことには、首相が「こうした（セクハラ）行為を受けた方は非常に心に傷を負う。被害者に寄り添った対応、あるいは発言が求められるのは当然であろうと思う」と指摘した。立憲の本多平直氏への答弁。