社長らは顧客とのやりとりに、中国版LINE「微信」を使っていた(警視庁提供)
医師の処方箋(せん)が必要な医薬品を不法滞在の中国人らに不正に販売したとして、警視庁は8日、医薬品卸売販売会社「セントラルメディカル」(東京都台東区)の男性社長(83)=埼玉県川口市=ら2人を医薬品医療機器法違反(処方箋医薬品の販売)の疑いで書類送検し、発表した。社長は「借金返済のためにやった」と容疑を認めている。
生活環境課によると、2人は3~9月、処方箋を持たない中国籍の女性(34)ら2人にピロリ菌除去薬など医薬品24点を計10万5600円で販売したなどの疑いがある。女性は7月に不法滞在の疑いで逮捕され、10月に強制送還された。
社長らは新宿・歌舞伎町のパブで知り合った女性らと中国版LINE「微信」(ウィーチャット)で売買のやりとりをしていた。同課は社長らが昨年2月以降、中国籍の客5人に処方箋が必要な医薬品30種類を含む計60種の医薬品を仕入れ値の3~5割増しで販売し、計約2800万円を売り上げていたとみている。
高血圧治療薬など約480万円分の薬を買っていた中国籍の女性(35)は同課に対し「はじめは中国の父母へのお土産用に買い、その後は親戚に頼まれて送っていた。中国では日本の2~5倍の値段で流通している」と話したという。同課は客が主に転売目的で購入していたとみている。