復刊された絵本「わたしのからだよ!」
子どもたちに、性暴力から身を守る力をつけてほしいと、27年前に出版された絵本「わたしのからだよ!」が11月1日、復刊されました。自分の体は自分のもの。嫌な触られ方だと感じたら、嫌だと言っていい――。そんなメッセージを伝えています。
加害者以外の大人がいない密室で…
兵庫県宝塚市のNPO法人「女性と子どものエンパワメント関西」が復刊した。もとの絵本は、理事長の田上時子さん(66)が北米で広く読まれていたものを日本に紹介したいと翻訳し、1990年、当時東京にあった出版社から発売した。
初版4千部が3週間で完売するなど、親や教育関係者の反響を呼び、10刷まで増刷して計2万部以上が売れた。やがて、性暴力防止の教育プログラムなども普及し始め、絵本は一定の役割を果たしたとして2005年、絶版になった。
だが、子どもの被害が後を絶たないことから、NPOが自費出版で復刊を決めた。田上さんは「性暴力は加害者以外の大人がいない密室で起きる。子どもが自分で自分を守れるよう、できることを教えるのが大人の役割」と話す。
絵本の副題は「いやな さわられかた だいきらい」。主人公の子どもは、笑顔で家族に抱っこされたり、友人と手をつないだり。でも、嫌な触れ合いもある。誰かが、気持ち悪く触ったり触らせたりしたら、「さわらないで」ときっぱり言う。そして読者にも「なかよくしては ダメよ!」と呼びかける。幼い子どもにもわかりやすい、シンプルな言葉で物語は進む。
主人公は男の子にも女の子にも見える。気持ち悪く触らせようとする「誰か」は、やさしそうに描かれている。性別にかかわらず被害に遭う可能性があり、相手は見知らぬ怖そうな人とは限らないからだ。嫌な触れ合いとして、ひどくくすぐられたり、無理に抱っこされたりする例も示す。
田上さんは「家族であろうと嫌な触られ方を嫌と感じ、伝えていいと思えることが自分を守る」と説明する。親や先生は反発と受け止めがちだが、子どもの感情を肯定してほしいという。「身近な人との間で、嫌だと示して行為をやめさせた経験を重ねることで、万一のときにも実行できる」
「自分を大切に」大人が伝えて
記事後半では、絵本の内容も併せて紹介します。
A5判30ページ。希望者には…