商業施設の開業は新たな雇用を生んでいる=名古屋市中村区の「タカシマヤ ゲートタワーモール」
東海財務局は11日、東海4県の企業の10~12月の景況感が「歴史的な高水準になった」と発表した。自動車産業や半導体が好調で、その影響が全体に及んだという。人手の不足感も高まり、寺田達史局長は、生産に悪影響が出る可能性にも言及した。
財務局が結果を公表したのは「法人企業景気予測調査」だ。静岡を含む東海4県の資本金1千万円以上の企業を対象に、景況感などを尋ねた。
景況感が「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた割合を引いた景況判断指数は、全産業でプラス5・1。前回7~9月のプラス0・9から大きく改善した。
プラス5・1の水準は、消費増税直前の駆け込み需要が影響した2014年1~3月(プラス8・9)を除くと、04年7~9月(プラス6・6)以来だ。
業種別では製造業は前回のプラス5・6からプラス10・0に、非製造業はマイナス2・1からプラス2・0になった。
規模別の指数を全国と比較すると、大企業、中堅企業、中小企業のすべてで東海が上回った。要因としては自動車産業の集積が大きそうだ。
働く世代の人口減少も背景に、人手の不足感が強まっている。「不足気味」と答えた企業の割合から「過剰気味」と答えた割合を引いた従業員数判断指数はプラス29・3。比べられる04年4~6月以降で最高だ。製造業はプラス24・4、非製造業はプラス32・5。
企業は人手の確保を急いでおり、再開発が進む名駅地区では一部の時給が1500円を上回る。愛知県長久手市のイオンモール長久手は従業員向けに、カールドライヤーを備えた化粧室や託児所を設けている。
一方で財務局のヒアリングでは、人手を集められない電気機械の中堅企業が納期を守れないケースも出ている。寺田局長は「現場の稼働に支障をきたさないかが気になる」とも話した。(細見るい)