神戸製鋼コベルコスティーラーズの現役選手たちと、コンタクトプレーに挑戦する子どもたち=神戸市東灘区、井手さゆり撮影
視覚障害のある子どもたちにスポーツの楽しさを知ってもらおうと、日本ブラインドサッカー協会が様々な競技の無料体験会を開いている。目からの情報が限られる子どもたちにとってスポーツは、やってみないと競技の特性やルールが分からない。こうした取り組みは珍しく、遠方から参加する子どももいる。(井手さゆり)
ブラインドサッカー以外の競技も
よく晴れた週末、神戸製鋼(神戸市)のラグビーグラウンドに、全盲と弱視の小中学生6人が集まった。この日は、同社の現役選手4人がボランティアで指南役を務めるラグビーの体験会だ。
「正面じゃなく、肩からぶつかって!」
選手の声に、子どもたちがボールを手に、専用のバッグに次々と突進する。コンタクトプレーのデモンストレーションでは、現役選手がぶつかる音に「うわぁ!」と歓声があがり、「バスッって音がした」「死ぬ可能性もあるん?」と質問が飛んだ。ラグビー初体験の角本詩(うた)さん(8)は「ぜんぶ楽しかった。レモン型のボールは、思ったよりちっちゃかった」と声を弾ませた。
同協会が取り組みを始めたのは2013年。選手発掘にと、子ども向けのブラインドサッカー体験会を始めた。しかし参加者からは、音を頼りにボールを蹴るのが難しいとの声があり、まず、いろいろなスポーツを経験する場をつくろうと、翌年から他の競技も採り入れるようになった。
今は関東と関西で、ブラインドサッカーを中心に1カ月ごとに体験会を実施。これまでに乗馬やダンスなど10種目あまりを採り入れた。日常生活ではできない体験とあって、関西では三重県や兵庫県淡路島、関東では群馬県など遠方から足を運ぶ子もおり、これまで130人以上が参加した。
体験会を始めたもう一つの理由が、視覚障害児のスポーツに関する支援が、全国的にもほぼ無いことだ。筑波大学付属視覚特別支援学校の体育教諭、原田清生(すがお)さん(58)は「視覚障害児の特性を理解してスポーツを教えるには、動きや方向を言葉で具体的に伝えることや、マンツーマンに近いサポートが必要だが、それができる人材は少ない」と指摘する。
その点、約15年間、選手育成…