五輪代表選考会前日に調整する神谷衣理那=北村玲奈撮影
スピードスケートの平昌五輪代表選考会が27日、長野・エムウェーブで開幕する。11、12月のワールドカップ(W杯)前半4戦の成績により、小平奈緒(相沢病院)、高木美帆(日体大助手)の五輪出場は確実。女子は残り8枠を争う。中でも500メートルは小平の1枠を除いた最大2枠を、ナショナルチーム(NT)で競い合う3人が激しく争う。
「今持っている力を悔いなく出すだけ」。開幕前日の26日、練習を終えた神谷衣理那(25)=高堂建設=は意気込みを語った。初の五輪への思いは強い。
「前回は天国から地獄に突き落とされましたから」
4年前のソチ五輪代表選考会。初出場を狙う神谷は女子500メートルで小平、辻麻希(開西病院)に続く3位に入った。紙面には「五輪確実」の文字が躍った。だが、まさかの落選。短距離よりメダルが期待できる団体追い抜きメンバーを重視した結果だった。
それでも五輪は諦め切れなかった。落選後は1年間の休養を取り、気持ちを切り替えた。復帰後は、NT入りをきっかけに実力を伸ばし、昨季はW杯自己最高の3位に入った。「落選を経て私の人生は変わった。弱い自分はもういない。今回は負けない」
郷亜里砂(イヨテツク)は30歳で初五輪を狙う。山梨学院大を卒業後、国体の強化選手として山口や愛媛などを転々としながら競技を続けてきた。NTで取り組む筋力強化で、スピードが一気に向上。今季W杯で4度表彰台に上がり、メダルが狙えるところまで成長を遂げた。「一緒に練習する仲間がライバルだけど、自分の滑りで結果を出すしかない」と意欲を燃やす。
32歳の辻はこの選考会に2度目の五輪出場をかける。平昌への原動力は、ソチ五輪で味わった9位の屈辱だ。「ベストの滑りができればいける。相手は気にしない。前回はメダルが欲しいだけだったが、今回は気持ちが違う。この手でつかんでみせる」。代表を自力でつかむには、すでに代表入りを確実にしている小平を除く最上位者になることが条件だ。決戦は27日、一発勝負で行われる。(榊原一生)