職員に訓示を述べる小池百合子都知事=4日午前、都庁、石井潤一郎撮影
正月三が日が明け、多くの企業や官公庁で仕事始めとなった4日、今年は天皇陛下の退位や皇太子さまの即位、東京五輪・パラリンピックに向けた準備が加速することから、携わる人々は気を引き締めた。昨年、不祥事が相次いで発覚した企業のトップは改めて再発防止を誓った。
都庁・宮内庁で年頭あいさつ
東京都は10月に築地市場の豊洲移転があり、東京五輪・パラリンピックに向けた準備など、多くの課題を抱える。小池百合子知事は4日、都庁で幹部職員約700人を前にあいさつ。今年開かれる平昌五輪やサッカーワールドカップにふれ、「世界的なスポーツイヤー。この盛り上がりを来年のラグビーW杯や(2020年の)東京五輪につなげ、期待を一気に高める一年にしましょう」と述べた。
選手の競技力向上を医科学面から支援する国立スポーツ科学センター(東京都)の勝田隆・センター長は取材に対し、「今年は(東京五輪の)選手やライバルの顔が見えてくる。自国開催の歴史的な大会に向け、選手と競技団体へのサポートを充実させていく」と意気込んだ。
天皇陛下の退位日が19年4月末に決まり、宮内庁では退位に向けた準備が本格化する。宮内庁では4日午前10時から山本信一郎長官が職員に向けて新年のあいさつをした。政府は今月上旬、皇位継承の準備委員会を設置。退位関連の儀式などについて検討する。11月には秋篠宮家の長女眞子さまの結婚式も控える。ある同庁幹部は「色々な事が決まっていき、忙しくなりそうだが、何とか無事に終えたい」と話した。
陛下が全国植樹祭や国民体育大会、全国豊かな海づくり大会などの行事に出席するのは今年が最後になる。「陛下としてやりたいことは色々おありだと思う。やり残したというお気持ちにならないよう、全てお務めを果たされたというお気持ちでご退位頂くことが大事だ」と力を込めた。
企業トップ、再発防止誓う
昨年、不祥事が続いた経済界。企業のトップは、年頭の所感で改めて再発防止を誓った。
新幹線「のぞみ」の台車に亀裂が見つかったJR西日本。来島達夫社長は、「お客様の命を預かる鉄道事業者として引き続き認めていただけるか瀬戸際にあり、非常事態に直面している」とし、「安全を最優先に判断し、行動することを強く肝に銘じ、徹底して実践していく」と述べた。
リニア中央新幹線をめぐる談合事件が明るみに出た大手ゼネコンでは、大成建設の村田誉之(よしゆき)社長が、「今後このような嫌疑を受けることがないよう、私自身率先垂範してコンプライアンス(法令や社会規範の順守)の徹底に取り組む」と強調した。清水建設の井上和幸社長も、「法令順守の意識と高い倫理観をもって正々堂々と業務に向き合い、生産性向上による働き方改革に努める」とした。
製品の品質データ改ざんに揺れた東レ。日覚(にっかく)昭広社長は、「信頼が大きく損なわれた事実を直視し、私が先頭に立って信頼回復に努める」として、「『正しいことを正しくやる、強い心』を全員で共有し、強い現場を作りあげていこう」と話した。