被害女児の遺体が遺棄された山林の斜面。一審判決後、新しい花束が手向けられていた=2016年撮影、茨城県常陸大宮市
2005年12月に栃木県今市市(現日光市)の小学1年の女児(当時7)が殺害された事件で、殺人などの罪に問われ、一審・宇都宮地裁で無期懲役の判決を受けた勝又拓哉被告(35)の控訴審で、東京高検が10日、女児の殺害場所を遺体の発見現場の林道から「栃木県か茨城県内とその周辺」に変更する「訴因変更」の請求を東京高裁に行ったことが、関係者への取材で分かった。
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控訴審では裁判所側が、自白以外に殺害の場所や日時の立証がされていないなどとして、追加の証拠を出すよう何度も求めていた。東京高検は殺害現場を特定する立証が困難と判断したとみられる。高検は殺害時刻についてもこれまでの主張から13時間以上拡大し、「1日午後2時38分ごろから2日午前4時ごろまでの間」と変更を請求した。弁護側は「二審になって検察側の異例の請求で驚いた」と話している。
事件を巡っては凶器がみつからないなど直接的な物証が乏しく、宇都宮地裁は「客観的事実のみから被告の犯人性を認定することはできない」としながらも、自白の信用性をもとに有罪判決を言い渡した。
宇都宮地検の起訴状では、勝又被告は05年12月2日午前4時ごろ、死体が遺棄されていた茨城県常陸大宮市の林道で女児を殺害したとされる。一審の宇都宮地裁は、物的証拠がないなかで、勝又被告の自白の信用性を認め、殺害場所と時間についても起訴内容通り認めた。
控訴審では、弁護側から一審では未提出だった遺体の遺留物のDNA型鑑定の審理を求める意見書も提出され、2月には意見書を書いた法医学者の証人尋問が行われる。この鑑定では勝又被告のDNA型は検出されず、別人のDNA型が検出されていた。(梶山天(たかし))