全国に297ある刑務所や拘置所などの矯正施設のうち、一部が国の耐震性基準を満たしていないことが法務省の調査でわかった。耐震基準(1981年)設置以前に建設された建物が半数近くあり、旧耐震基準(71年)以前のものもある。刑務所と拘置所の収容人数はピーク時から3割程度減っており、同省は古い施設を統廃合するとともに、建て替えや改修などの対策を進める。
同省のまとめでは、刑務所や拘置所、少年院、少年鑑別所は計297施設ある。このうち140施設(47%)は、現行の耐震基準が定められる前に建てられた。旧耐震基準適用前の建物も61施設含まれているという。
同省が2000年度から、これらの140施設で耐震診断をしたところ、国土交通省が官庁施設について定めた基準に満たない施設が見つかった。法務省は職員や受刑者らに危険が及ぶ恐れがあるなどとして、建て替えや改修を進めている。19年度は250億円余りをかけ、老朽化した刑務所の改修などを実施する。
ただ、矯正施設は収容者の部屋を区切るために壁が多く、一般建物より頑丈だとの指摘もある。71年度建設の熊本刑務所は熊本地震(16年)の被害を免れ、敷地内の道場を被災者に避難所として開放した。同省は今後も、矯正施設を災害時の防災拠点などで活用することを検討している。
一方、施設に収容されている受…