サウジアラビアのムハンマド・ジャダーン財務相=25日、スイス・ダボス、寺西和男撮影
世界最大級の産油国サウジアラビアのムハンマド・ジャダーン財務相は25日、スイス・ダボスで朝日新聞のインタビューに応じた。「脱石油依存」を目指す社会・経済改革について「非常に成功している」と述べ、改革が順調に進んでいると強調した。また、サウジで昨年11月から続いている汚職容疑などでの王族らの摘発については、一段落したとの見方を示した。
サウジでは原油安を受けて、2030年に向けた国内経済の改革方針「ビジョン2030」を16年に策定し、サルマン国王とムハンマド皇太子が主導して改革を進めている。ジャダーン氏は、たばこなど嗜好(しこう)品への新税の導入などで昨年の石油収入以外の税収は3年前の2・5倍に増えたと強調。「サウジ経済は多様化する」と述べ、鉱業や観光業、娯楽業、技術関連の新産業の育成に力を入れる方針を示した。
また、国営石油会社「サウジアラムコ」の株式の一部を年内に上場予定で、株式売却で集めたお金は新産業の育成にあてるという。上場先は「中核市場はサウジ国内になる」と説明。海外ではロンドンやニューヨーク、香港を検討しているとした。選定には投資環境だけでなく「国家間の戦略的関係」も重視しているといい、候補先として手を挙げている東京証券取引所の可能性も否定しなかった。
昨年11月から汚職容疑などで王族らの摘発を続けていることについては、「初期段階(の摘発)はおおかた終わった」と述べた。一時は投資家から懸念する声が上がっていたが、「今は以前より多くの海外投資が入ってきている」と説明した。(ダボス=寺西和男)