男子SPの田中刑事の演技=遠藤啓生撮影
16日に始まった平昌(ピョンチャン)五輪のフィギュアスケート男子。初出場の田中刑事(23)=倉敷芸術科学大大学院=はショートプログラムで20位につけた。田中が通った岡山県倉敷市立連島神亀(つらじましんき)小学校では、市主催のパブリックビューイング(PV)があり、後輩ら約600人が声援を送った。
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名前は「けいじ」と読み、あだ名は「デカ」。名付けた父の正則さん(80)は、地元で少林寺拳法の道場を開く。「正義感の強い男になってほしい」という願いを込めた。生後4カ月で「入門」させたという。
拳士の卵は小学1年でスケートと出会った。入学式後、学校で手に入れた「倉敷フィギュアスケーティングクラブ」のチラシを手に近くのスケート場「ヘルスピア倉敷」で初めてスケート靴をはいた。
1時間も続けるとスイスイと滑れるようになり、夢中に。クラブの佐々木美行(みゆき)監督(61)は「道場の跡取りだろうに…」と思ったが、両親は「この子の人生はこの子のもの。やりたいことをやらせたい」と、秋から本格的に専念させた。
同市出身で、クラブの先輩のバンクーバー五輪銅メダリスト高橋大輔さん(31)の背中を追い、地道にジャンプと表現力を磨いてきた。佐々木さんは「学んだことをいかに自分のものにするか、よく考えて取り組んでいた」と教え子を評する。
PVには、中学校教諭で田中の担任だった畑野聡(さとる)さん(37)も駆けつけた。「進路相談では『フィギュア1本で頑張る』としっかりと目標が定まっていた」と懐かしむ。「夢の大舞台で悔いのないように」とエールを送っていた。(小沢邦男)